Sunday, July 13, 2014

長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部 第66回ぎんが祭公演『Nippon, cha cha cha!』

@長野県松本蟻ヶ崎高校231教室

作:日下部英司
出演:長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部


日下部先生が蟻ヶ崎高校に赴任されてからは,創作を発表することが多かったようです。この作品は,先生が蟻ヶ崎から見ていたもの,見えていたものの集大成なんだろうなーと思いながら拝見しました。

「異色。」ということばが,おそらくこの作品に合うもののひとつだと思います。

今までの創作作品,『花を摘む』『ひとりぼっちの南吉か(に) -新美南吉の作品群による上演脚本-』『私の一番の希望たち』『滄海は還らず』と比べて何が違うかと言えば,舞台に高校生が出てくることです。しかも,松本蟻ヶ崎高校の生徒が。
既成の作品でも,高校生が出てくるものは進んで選んでこなかった(と,私は思っている)先生が,高校生を出してる!ついでに担任まで出ている!HRのシーンがある!!!

…先生は,そろそろ悟りを開かれたのでしょうか。新境地だなーと思いました。

(でもパンフレットに「他人になること」の重要性を書かれていらっしゃるのに,舞台上に日下部先生がいらしたように見えたのは,私だけでしょうか…(´-`))


キャストのみなさんを観ていて,(あぁー。楽しそうにお芝居してるなー)って思いました。
あと,当て書きだからだとは思いますが,配役が絶妙。活かしてる。2001年から観てきたいろんな蟻高作品の中で,特にキャストが活きていた作品だと思います。実際に「今,ここで」物語が紡がれていくのが見えました。良かったです。

あと,いわゆる「修学旅行」がない県内の高校って,市内4校とか県内のトップ校なのかな~と思っていたんですが,10校くらいしかないんですね。なんか舞台観てて(へぇ~!)って思いました。
実際の蟻ヶ崎では沖縄に行けるか行けないかわかりませんが,うん…。沖縄は良いところですよね…。笑
私は学部3年生のときにそこのゼミ生でもないのにゼミ合宿に紛れ沖縄に行ったのですが(←ぇ),そこで見た地元の青年会のエイサーがとてもよかった…。中学生とか高校生あたりの子達が大人と混ざって踊ってて,あぁこうして彼らも大人になっていくんだなーとしみじみ思ったものです。うまく言えませんが!

あ…脱線脱線…。


それから,力のある方が揃っていて,お世辞抜きで(おぉぉ…!)と思いました。

まず!オータヨーイチ役の彼!
WSのシーンがすごく面白くて,(あぁ~,ああいう講師いるわー!)って感じました(´∀`*)
声も素敵ー。いいなー。AKB不滅を訴えていたときも,偏った暴走っぷりが素敵でした…。(45?歳!独身!)

次に!安達祐実役の彼女!
え…1年生なんですか!思わず見入っちゃいました。顔立ちも声もきれいで,舞台に映えますね…。今後楽しみな役者さんです。

さらに!トランスフォームのおふたり!
あのコントは素なのか実はちょっと滑っていたのかアレですが,ああいう外すところがあるから他が締まるんだな~と思います。他の役もいいところにいるなーとしみじみ。


おそらく大会に持っていく作品だと思うので,
特に女の子はかがんだときに服の中があんまり見えないように衣装を変えたり服に細工などをした方が見ていて安心なのと,拳銃の音が軽い感じがするので,もう少し探してみても良いのかなと思いました(「MOZU」みたいな感じが個人的に希望…)。


あとは脚本のもんだいか私の頭のもんだいなのですが,話を広げに広げて,収拾できていないのかな。という感じがしました。
今,物語を思い出しながら書いているはずなんですが,(あれ。蟻高のひとたちって結局どういう感じで終わったんだっけ…)という感じで,普天間南のインパクト(と,「普天間南高校のひとたちですよね?」のシーン)に持っていかれてしまった感があります。その場所にいると,その場所の見方しかできなくなってしまう…というメッセージはキャッチできたのですが。うーん,もう一回観て考えたいなぁ。
(長野→沖縄→長野…と交錯していって最後にひとつにまとまるというよりは,多少の接点があっても長野は長野,沖縄は沖縄という感じで,それぞれ何かを見つけていく作品だなと感じました。が,“多少の接点”の繰り返しもあって,持っていかれる感。)


昔,高校2年の時に「大事なのは何を考えるかではなく,まず,考え始めることなのです」という言葉を聞いたことがあります。その言葉がふと浮かびました。

蟻高の皆さんに対して,「考えるきっかけ」を作者の先生は作ってくれたのかなと思います。蟻高生の特徴とか,その土地に生きていくひととそうでないひととで,ひとつの問題に対するとらえや意識が全然違うということとか。広くものごとをみてほしいという願いが,なんだか伝わってきました。

でもまだ,自分達のものにはできていない感じも,確かにします。ここからどれだけ自分の身体になじませていけるかは,夏休みの宿題になるのかなと思います。


私も広げに広げて,収拾できなくなりました。スミマセン…。


あ,あと最後に,昨年観た『滄海は還らず』のヒロインの方(捨てられちゃう女の人)の雰囲気がすごーく好きだったのですが,今年は裏方に回られていたようでちょっと残念だったと主張したいのと,
3年生の方がお一人しかいらっしゃらなかったということで,ずいぶん苦労されたのではないかと思います。そのがんばりに拍手を送りたいです。
(カーテンコール時に後輩が泣いてるのに,部長が泣いてないあたりが男前でカッコイイと思いました。笑)

蟻高のみなさん,お疲れ様でした。ありがとうございましたー。

+++

2014.7.15補足

昨年のヒロインの方は既にご卒業されているそうです。そりゃいない訳ですね!(笑)失礼しました。

今年いらした、あの雰囲気良さげな裏方さんはどなただったのでしょう…。

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