Saturday, September 6, 2014

映画『ヴィオレッタ』


◇STAFF
監督:エヴァ・イオネスコ
脚本:エヴァ・イオネスコ/マルク・ショロデンコ/フィリップ・ル・ゲ
製作:フランツ・クサヴァー・フランツ
音楽:ベルトラン・ブルガラ

◇CAST
イザベル・ユペール/アナマリア・ヴァルトロメイ/ドニ・ラヴァン 他

(2014.9.6 劇場で鑑賞)

新聞記事で読んでから気になっていた作品。タイミングが合ったので行ってきました。

観終わって1時間半くらい経つのですが,久々に気持ち悪い感じが残っています。
観ている最中はうっとりもしたのだけど(!),後半の母親のドロドロが,なんだかきています…。

私が学部2年の頃,履修した生涯発達心理学の授業で,発達心理学に関して発表をするというミッションがありました。
考えに考え,私は生まれてから学部2年になるまで,自分の写真をパワポにまとめて,発達と絡めて発表したことがあります。自分の生い立ちを,同じ授業を取った学生に紹介したのです。
その時はありがたいことに,授業の先生から「まさしく発達心理学ですねー」といい意味で評価されました。今思うと…,自分のことを俯瞰して振り返り,整理し,まとめるという作業は,自分が落ち着いていないと難しいことなのだと思います。

この映画は,監督のエヴァの実話が元になっています。
自分が母親に商品として使われ,性を利用され,金銭獲得の道具として扱われるのは相当な傷つきや混乱があったはずです。その過去を振り返り,整理し,ひとつの作品にまとめるという重労働を成し得たこと自体が,ほんとうにすごいおしごとだなと感じました。

…にしても,ヴィオレッタ役のアナマリア・ヴァルトロメイが,すごい…。
お化粧してるとはいえ,あの艶っぽさ色っぽさはどこからやってくるの…。顔が整いすぎて,体がきれいすぎて,かなりうっとりしてしまいました…。もんのすごい雰囲気をお持ちの方ですね…。
(このオーディションは,お父さんが応募したのだそう。おいおいお父さん大丈夫かと思う反面,応募してくれてありがとうとも思った。笑)

終盤の,母親に向かって「動物園に行って毛むくじゃらになりたい!」と叫ぶシーンは,かなりインパクトがありました。きっと被虐待児ってこんな感じなのだろうな…。子どもの叫びがダイレクトに伝わって来て,胸を鷲掴みにされました。耐えていたものが出てきた感じで,薄っぺらい言葉になってしまうけれど,良かったです。

化粧もして,肌蹴たような格好をしているけど,心は小学生,中学生で,母親にはぎゅっと抱きしめてほしいし,商品としてではなくて子どもとして見られたい。そんな作られた見た目と中身のギャップが,とても切なかったです。

あと,タイトルがいいですね。「ヴィオレッタ」。原題は「My  Little Princess」なのだけど,これだとふんわりカワイイ感じがしちゃうと思うんです。カタカナの硬さが妖しさを醸し出しているようで,訳すひとのセンスって大事だなーと改めて思いました。

映画館で観てよかったと思った,重厚な映画でした。

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