Saturday, October 11, 2014

テレビドラマ『聖女』(全7話)



◇STAFF
脚本:大森美香
演出:日比野朗/水村秀雄
音楽:吉俣良

◇CAST
広末涼子/永山絢斗/蓮佛美沙子/岸部一徳/田畑智子/田中要次/浜野謙太/森岡豊/大谷亮介/中田喜子/筒井真理子/青柳翔/安藤玉恵

2014年8月~10月にNHKで放送

ちょうど一年前に,同じ枠で『ガラスの家』を観ていたのだけど,なんだかいまいちしっくり来ず,ぷしゅう…という気持ちになっていたのです。
広末涼子が悪女役&また同じ枠に永山絢斗が出る!という興味本位で観てみました。

結果→意外と面白かった…!
夏ドラマと秋ドラマの間を埋めてくれるドラマになりました…。

広末涼子が,本当によかった…。
表情がとても良い!!!
裁判中の歪んだ表情とか,晴樹を見てきゅんきゅんしてる瞳とか,本当に素敵だった。
そして横顔が良いよね…。最終話のベッドでのシーンとか,美しかった…。
立ちすくんでいるところとかも,ふと広末涼子の顔が中世の絵に出てくるような女性の顔に見えて(顔立ち的に),なんかすごいマジックだなぁと思いました(蓮佛美沙子もキレイだけど,顔のつくりが全然違うから中世の絵には絶対に出てこない…笑)。
世間一般からしたらこの人は悪女なんだろうけど,でも裁判で永山絢斗が言っているように純粋に幸せになりたかった人なんだろうな。肘井基子は男性に対して良いイメージを持っていないから,WIN―WINの関係を求めていたんだろうと思いました。

最終話の長台詞,淡々と話しているのに厚みがあって,圧倒されました。
「あたしの本当に求めていたものは,あの日あの海にあったんじゃないかって。あたしは,大事なものを手放してしまった。あぁ…,あの日に帰って,やり直せたらいいのにって。そんな時に逮捕されて晴樹くんに再会して,それで,そんなことでもう一度生まれ変わることができるなんて思うなんて,ばかよねあたし。……愛なんて,なんであるんでしょうね。そんなものなければよかったのに。そんなものなかったら,もっと上手に生きられたのに。」

そうかぁ。愛なんてなかったら,もっと上手に生きられたのかぁ。確かにそうかもしれないなぁ。

あと,海でのこのせりふ。
「あなたを愛したこと,それだけがあたしの失敗だった。それだけが,本当のあたしだったのかもしれない。」
愛したことが失敗だったのか。「失敗」って言葉の選び方が,なんだか切なくて,でもわかるような気持ちもしました。


永山絢斗は『ガラスの家』のイメージから,斎藤工と並んで幸せになれない男…のイメージがあったんですが(笑),うん…やっぱり人間ってフクザツな生き物だわ…。

永山絢斗の演技力というより,せりふでハッとしたところがありました。
「しかし,お金をもらって何が悪いんですか?専業主婦と言われる人々は,配偶者から給料を受け取る代わりにおいしい料理を作って家を守り,愛人と言われる人々は,マンションや金を頂く代わりに生きる情熱や安らぎを与える。彼女もそうだっただけです。ただ,彼女が違ったのは正直だったことだ。『愛さえあれば何も要らない』。そんな安易な嘘をつかず,自分らしく生きるにはお金も大事だと正直に話していた。そのことだけです。」

そして演技力でぐっときたのはこれ。
「誰かを殺したいと思う人間と,本当に殺してしまう人間では決定的に,圧倒的に違うんだ」

…の,「圧倒的に」が特によかった。熱い…!
いつか幸せな役の永山絢斗を見てみたいものです。


蓮佛美沙子の演技をちゃんと見るのは初めてだったんだけど,広末涼子と戦うあたりとかすごくよかったなー。ニコニコ太陽のように笑っているけど実は動揺してたり嫉妬してたり,そういう人間味あふれるところが見られてよかった。

「過去のことはどうでもいい。ううん,本当はどうでもよくないけど,でもどうにもできないから仕方ない。」

このせりふにキューンとやられました。ときめくキューンではなく,勢いよく千枚通しでピッとやられてしまうような感じ。
仰る通りです…。
なんでも蓮佛美沙子は国会中継とかでスタパの出演が2回も潰れたらしく,不憫…!
これからも応援したい女優さんです。


あとは
田畑智子の「何言ってるんですか。悪いのは全部男じゃないですか。」がよかったり,
タクシーで広末涼子と永山絢斗が恋人つなぎするところがときめいたり,
でもタクシーのシーンはどのシーンでもなかなか発車しないのが気になったり,
青柳翔って何か見覚えあるなと思ったら『雲の階段』に出てたひとかー,ああいう役合うなーって思ったり(笑),
“基子”も“泉美”も音の響きは違うけど,原点的なイメージが同じだなと思うと面白かったり。

女の幸せと,どう生きていくかを考えさせられたドラマになりました。

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