Saturday, January 31, 2015

第50回関東高等学校演劇研究大会(千曲会場) 埼玉県立春日部女子高校演劇部『お葬式』

@千曲市更埴文化会館あんずホール

作:亀尾佳宏
出演:埼玉県立春日部女子高校演劇部

幕が下りる瞬間,(えっ,ここで終わるの!?もう1時間経ったの!?早ッ!!)と思ったんですが,実際の上演時間は45分程度だったそうです。講評では「急いでましたか?」とか聞かれてましたが,私はテンポの良いお芝居だなーと思って観てました。

埼玉県の高校演劇といえば秩父農工!がつがつ!(笑)というイメージをずっと持っていましたが,今回は繊細なところに出会えたなぁと思いました。

高校生が小学生を演じるのって,結構危険だと思うんです。仮に本人がイケてる!と思っても,周りから見たら痛い場合って十分あると思うんです…(苦笑)。だって15~18歳だもの,顔も体も声も成長しているのだから,限界があるわ…。
しかし!
この『お葬式』に出演されている3人の役者さん,びっくりするくらい小学生に見えるんです!すごーい!!3人ともですよ!すごーーーい!!!声も,おそらく多少作ってはいたかもなんですが,自然に聞けました!すごいーーーーーーーい!!!!!(゜ロ゜)!!
役者と脚本の相性が良い舞台って,こういうもののことを言うんだろうな~と思います。

子どもが「死」を理解するプロセスって奥が深いなぁと思っているんですが,その過程を丁寧に丁寧に描いている作品でした。純粋な部分や無邪気さの中にある残酷性に気づいていないからできることや言えることやわからないことがあるなぁということを改めて実感。小学1年生あたりって,微妙な年頃ですよね。「わかる」狭間の年齢として。

わからないなりにその行為を楽しむ…というか,その行為をなぞろうとする3人が,見ていてとっても愛おしかったです。ぽくぽくちーんとか,「いぇーい」とか。そう。遺影とか…めだかさんがめっちゃ笑顔すぎてよかったです。しかもちゃんと小学生らしいタッチだからとっても好感持てました。笑
トースターのちーんとか,ノンバーバルでの笑いが絶妙で…。間で笑わせるって,かなり高度なワザだし,ちーんって安定した間は難しいんじゃないかと思うんですが…そこは役者さんの技量なんでしょうか。純粋にやられた!って思いました。

ノンバーバルな面ももちろん,せりふも面白いなぁ!と思える脚本でした。「出遅れちゃった」「もう手遅れだよ」とか。あと他にもあったんだけど忘れてしまった。さらっと入れ込んでくるから,うまいなぁ。私,言葉遊びとか好きなので,ワクワクしちゃいました。
でも「人間は殺さなきゃ生きていけない」みたいなせりふはちょっと強烈で,『ひかりごけ』とか野田秀樹の『赤鬼』とか連想しちゃいました。弱肉強食…についても,考えさせられました。

あといいなぁと思ったのは,男の子ふたりの髪型!ツッコミ(と呼んで良いのだろうか)のユウタはかなりのショートカット,ボケ(と呼んで…)のキヨシはちょっとマッシュルームな感じ。性格が髪型からも見えて,わかりやすいし効果的でした!「衣装で夏休み感を…」と講評で言われていたと記憶しているんですが,赤とか青とかハッキリした色があるとよかったのかなー。あ,でも赤は後ろの鳥居とかぶるのか。ムズカシイなぁ。(個人的にTシャツの裾の入れ方が好きでした。いいなぁ。ああいうところ。)

上げた分下がったときのギャップというか,知ってしまった,わかってしまったときのトモコの表情がとても印象的でした。うん。3人の表情がよかったな…。どうしようもできないことに抵抗しようとする姿も,見ていてヒリヒリ…。
この作品名をパッと見た時,(なんでこんなタイトルなんだ…。)(どんな話なんだ…)と思ったんですが,それ以上でも以下でもない作品だなと思ったし,無邪気だから迫ってくる何かがありました。
春女のみなさん,お疲れさまでしたー!

No comments :

Post a Comment