Saturday, July 11, 2015

長野県木曽青峰高校演劇部 第7回蒼陵祭公演『一人ぼっちの南吉か~新美南吉の作品群による上演脚本~』


(蒼陵祭公演パンフレットより一部掲載)

@長野県木曽青峰高校小体育館

作:日下部英司
出演:長野県木曽青峰高校演劇部

昨年の木曽青峰といえば文化祭直前に南木曽で土砂災害があり,文化祭の開催自体が危なくなったり,部活の発表会場や時間に変更なんかがあったりして大変だったようで…。演劇部も照明や音響に大幅な変更があったようです。それでもShow must go onだった舞台を観て,随分励まされたものです。

あれから1年。今年も良い感じにスケジュールが合ったので行ってきました!

今年の木曽青峰は『南吉』!
あれ,これ観たことあるぞ!?
2008年度に長野県松本蟻ヶ崎高校が上演したのを観ていたのでした,私。(そのあとも再演があったはず)

しかしもう7年も前のこと…。一回しか観てないし若干記憶がぼんやり…。
でも,観てたらなんとなーく蘇ってきました。彼岸花の話とか。秋は日が落ちるのが早いとか。
私は新美南吉作品を『ごんぎつね』と『手袋を買いに』くらいしか知らず,もっといろいろ知ってたらさらに楽しめたのかしらと思いながら今この文を書いています。

キャストさん3人のうち,人物2を担当されていた方が特に素敵でした~。
少年っぽい役から女の人まで自然に演じられて,演技の幅が広い役者さんだなーと思いました。東京のお部屋にイメージとして現れたみな子さんとか,良かったなぁ…(ノ´ω`*)

『ごんぎつね』も茂平さんからの伝聞だし,このお芝居も一人が複数人を演じるからどこか私も一歩引いて観ちゃうのでそういうもんなのかもしれませんが,私思いました!

なんだか!
心の温度が!
一緒な気がするの!

(多分昨年『砂漠の情熱』とか蟻高の『Nippon, cha cha cha!』も観たから,比較したり共通点見つけたりして思ったことだと思われ。)

観ていて,(ごんよ…。なぜそんなに最初からしっとりしているんだい。)と思ってしまいました。
ごんって小狐…。あ,そっか。「子」狐じゃないからミニサイズの大人ってことかな?まぁいいや。とにかくごんはいたずらっ子だと思うんですが,なんでいたずらっ子なのかと考えたときに,一人ぼっちで寂しかったり(←意識できているかは別として),周りにかまってほしくてちょっかい出したり…なところがあるんじゃないかと思います。
なのでもっとガチャガチャしてても良いんじゃないかなー。

ウナギを逃がした後に真実を知って後悔→せめてもの償いでイワシをプレゼント…というところも,狐のアタマなりに考えて→「これから喜んでもらえるかも!」と期待したところで→庄八が泥棒扱いされちゃって,「まじかー!ごめんそんなつもりじゃないのに~!」(;o;)
…みたいなあたふた感がもう少し見えたら,人間味が出そうだな~わくわく。なんて思いました。

でも!
他のシーンや他の役者さんの心の温度…みたいなものがほとんど一緒だったので,多分そこだけ温度(?)を上げると浮くんだろうな…。だからしっとりしていたのだろうと思います。

お話としてはきれいに,本当に詩のように流れていくのだけど,そういったキャラクターの力動が感じられたら個人的にはもっと幸せだなぁ。例えばちびっこ達が新美先生のお話を聞きにくるときも,早く聞きたくてワクワクしているだろうし,ぐいぐい,それこそ言葉通り身を乗り出して聞き入っちゃうと思うんですよね。だからもっと聞きたくなるのだろうし。なんだか時だけが淡々と流れていくような感じがしちゃったので,もっと気持ちの波を私達観客も味わえたらいいなーって思いました。

あと前回(2008年度)この作品を観たときにも思ったんですけど,これだけ抽象度が高い舞台なので,母があれだけリアルだとちょっとギャップに驚いてしまう…しまった…のです。そこだけぼーん!と具体的なものが出てきた感じで。もうちょっと他の表現と近づけるというか,ギャップを薄めてもいいのかなぁ。例えばシルエットにするとか…?うーん,なんだろう。シルエットで見ると頭なでなでしてるように見えるとか?うううーん…。生身の人間の手で撫でたいから頭部もリアルにしているのだろうけど。なんだろう。好みの問題なのかな。


そういえば衣装が良くなっていた!前回と比べて!
前回は上も下も黒×黒で,稽古着をそのまま持ってきた感があったり,ぺらぺらしていてちょっとチープな感じがあったのだけど…今回は質感のある衣装で素敵でした!ちゃんとごん役の方はきつね色…☆笑
ただ母役の方は他のお二人と比べて系統が違ったかも…。

あとあと,照明もおや!新しい!と思ったところがあって,新美南吉2?かな?デニムシャツを着てた役者さんがセンターでがっくり来て暗転する…というところ。段階的に照明が落ちてって,なんだか新しかったです。意図的にそうやってるのかたまたまそうなっちゃったのかは微妙なところでしたが,あれはあれでアリだなーって思いました。笑

舞台セットも去年の『砂漠の情熱』で使っているものを再利用されていたり,コンパクトに作ってあるあたりはスマートで良かったです。またこれを地区大会とかに持っていくなら,作りも若干変わるのかなーと思いますが…。
そういった構成の変更やお芝居そのものは,夏休みの宿題になるのかな。

昨年のキャストさんは当時3年生なので総入れ替えだったと思うのですが,昨年大会のパンフレットでお見かけしたお名前の方が今年もちゃんと裏方さんだったので,そういうところで学年と学年を繋げたり,部を支えているから成り立っているところもあるんだろうな~と思います。

キャストの皆さん,スタッフの皆さん,お疲れ様でした。木曽でちゃんと音響も照明もついている舞台を観られて安心しました!地区大会でパワーアップした舞台を観られるのを楽しみにしていますー。

(ところで南吉って29歳で亡くなっているんですね…。私もあとちょこっとだわ…。先月観た中島敦といい,若くしてこの世を去る人ばかりに触れている気がするわ最近…。)

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