Tuesday, October 13, 2015

テレビドラマ『三つの月』

◇STAFF
作:北川悦吏子
演出:堀場正仁

◇CAST
原田知世/谷原章介/八千草薫/菅原大吉/山本學/岩田さゆり

(2015.10.3 TBS系列にて放送,2015.10.12に鑑賞)

3年間観てきたCBC制作の月シリーズ。一昨年は常盤貴子主演の『月に祈るピエロ』,昨年は和久井映見主演の『月に行く舟』,そして今年。

はー。3作品観られて,よかった。

この時期のこの時間帯にやるのがまたいいよね。(今年はリアルタイムで観られなかったけど…。)

大人のしっとりドラマ。なんかこれがしみる年になってしまった…。笑


やっぱりこのシリーズは「岐阜」っていうところが大きいよね。静かで,自分の心と対峙してしまう。

繭のせりふにも“このまちは静かすぎる。闇が濃すぎる。手を伸ばしても,何にも届かない気がする。”というようなせりふがあるのだけど,なんだかわかるような気がします。

あの岐阜の自然は確かに素敵。川の静かな流れも,広い空も,遠くに続く山々も,透き通って見える月も,心が穏やかになる感じ。
なんだか長野県の中南西(と表現すれば良いのだろうか。)と似た雰囲気があるなぁって,木曽あたりに行くと思います。

私は長野県の中でも比較的刺激のあるところで育ったのだけど,でも今実家があるところは月が恐ろしいくらい明るいところで,帰るたんびに,夜の無音と無光を感じては世の中から切り取られてしまったような気持ちになるときがあります。

だから能動的にあの場に行くかそうでないかで,日々の気持ちもきっと違うんだろうな。名古屋の音大からああいったところにずっと住むなんてなったら。私だったら病む気がする。笑
観光で行くくらいが私にはちょうどよさそう…。


出だしの,繭と秋風さんの微妙な間が素敵だな。
あの,お互い探り合っているような感じの,間。
そこから次第に,間が詰まっていくというか,自然な間になっていくところから,二人の距離感の変化も見えるような気がします。

気持ちを,言葉を伝えるために,繭と秋風さんは電話を何度かするけど,最後は手紙。
そこがまたいいなって思います。そういえば『月に祈るピエロ』も,手紙の往復でしたね。
LINEとかメールも現代のスピードに応えるツールだけど,じっくり味わえるこの手段,好きです。あー手紙出したくなる。笑

過去の作品との共通点といえば,相手に残すものが目で見えないものっていうところも,『月に行く舟』と似てますね。前回はコロンだったけど,今回は音楽かぁ。プレイヤーごと渡すって,本当に聴いてほしかったんだろうな。

私,音楽はスポンジだと思っていて。
そのとき聴いた曲は,そのときの気持ちも,季節の温度も,考えていたことも,全部一緒に吸ってくれる。
そしてまた聴き返すときに,そのスポンジがぎゅーっと絞られて,吸ったものがまた出てくる。それが音楽だと思ってて。
だから繭は,あの曲をまた聴くことはあるのかなとか,考えちゃいます。

高揚して,高揚して,全て投げ出す気持ちになったところで踏んじゃうのが夫の爪っていうところが,ちゃんと回収しててすごいなぁ。生活感溢れまくってて。痛くて。現実を思い出す。ストーリーを追っていくと,(このひと東京には行かないんだろうな)とは思いながら観ているのだけど,どこではたと立ち返るんだろうとも思っちゃって。そうか。爪かぁ。


あとあと,姑のせりふもいいなって思ったところが。
“わからない。人生って選んできた道しかわからないんだもの。もうひとつの道の結果はずーっとわからない。だから,これでいい。”

うーん。長く生きてきた女優さんから出てくるからこその重みが…。

私もきっと,人生の岐路は今までたくさん迎えてきたけど,そうだよね。想像はできるけど,実際どうたったかは,わからない。だから今選んできたものを肯定することしか,肯定しようと努力することしか,できない。


三作観てきたけど,一番好きなのは『月に祈るピエロ』かなぁ。
好きな女優さん,常盤貴子が出ていたっていうのももちろんあるけど,最後はやっぱり幸せになってほしいなぁと思うと,これかなぁ。『月に行く舟』も『三つの月』も,今の私にはちょぴっとつらいかも。まだ,人生に期待しておきたいというか。笑

でもどれも,岐阜の自然と谷原さんが素敵なドラマでした。昨年も書いた気がしますが,できればDVDになってほしいなと思います…。そして秋の夜長にしっとり観返すの…。

いつか夏の岐阜に行きたいです。月が見られたらいいなぁ。
そんなことを思わせてくれる作品と,作品群でした。

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