Tuesday, October 13, 2015

映画『言の葉の庭』


◇STAFF
原作・脚本・監督:新海誠
作画担当・キャラクターデザイン:土屋堅一
美術監督:滝口比呂志
音楽:KASHIWA Daisuke
歌:秦基博

◇VOICE CAST
入野自由/花澤香菜/平野文/前田剛/寺崎裕香/井上優/潘めぐみ/小松未可子/星野貴紀

製作国:日本
公開:2013年
上映時間:46分

(2015.10.13 DVDで鑑賞)

数日前に,中高の部活の後輩や知り合いの方がTwitterで『言の葉の庭』『言の葉の庭』とつぶやいていて気になってました。どうやらGyao!か何かで配信されてる(た?)らしく,私も観たーいと思ってDVDを借りてきちゃいました。(以前ネットを使って映画見たら,すごいデータ量だったので…。)

新海誠と言えば,『秒速5センチメートル』のひと!!!
もうこれは観るたび言葉にし難い気持ちになる作品で,くるしかったり,せつなかったり,それでも誰かを好きになるっていいなって思わせてくれるような映画。個人的な思い出もあり,とっても心に残っている作品です。

その新海さんの,最新作!
46分というコンパクトな時間に,またいろーんな気持ちにさせてくれる要素がいっぱい詰まってました。
DVDなので特典としてインタビュー映像がついてたんですが,新海さんと私,同郷なのですよ…。だから(それすごいわかるーっ)って思ったところがあって。新海さんが言ってた,「新宿とか渋谷の高い建物とかたくさんの人を見ると,それだけですごいなーってなる」みたいな言葉。うん。わかる。そして新宿は私にとって“東京”を象徴する地で,そこが舞台の作品というだけでワクワクしました。
『秒速』のときにはなかったコクーンタワーとかスカイツリーとかちゃんとあって,あぁ年月が流れたわ…と思いました。笑
あと新宿御苑も1回ですけど行ったことあったので,なんだか親近感。

タカオの靴職人を目指すっていう設定は…なんだかあれですね。『耳すま』の天沢聖司くんのようですね。でも世界はやっぱり2010年代の東京都心で,彼をめぐる世界はなんだか混沌としてるなぁなんて思いました。お母さんが恋人のところに家出しちゃったり。妙に大人びてるところというか,早々に大人になることを強いられてしまったところというか,そんなところが印象的な子でした。タカオくん。

でもやっぱり子どもの頃の記憶って鮮烈というか,些細な一コマでも当人にとってはとても大切な思い出なんだろうなーということも,タカオのお母さんが家族3人からダイアナの靴をプレゼントされるシーンの,タカオの表情なんかから,感じました。

ていうか!そう!ユキノの年よ!
やばい…。私とどんぴしゃりじゃないの…。だからユキノの,「27歳の私は,15歳の頃の私より,少しも賢くない。 私ばっかり,ずっと同じ場所にいる。」というせりふは,少しずっしりきました。確かに…。私,どこがどう大人になったんだろう。さっぱりわからないや。少し手に入れた知識や年齢を盾にして,大人のふりをしているだけみたい。そんなこともユキノの言葉から考えちゃいました。

学校の先生って…大変だな…。ということも,このアニメからほんのり感じました。
私も今週1くらいで学校に勤務してますが,ホントに学校の先生達ってたいへんだなって思います…。私だったら無理…。週1回行っただけで,魂吸われるもん。笑 それを毎日とか,絶対無理。
特にユキノさんみたいに比較的若くて,しかも高校の先生だと,授業からクレーム対応までいろいろ大変だろうなぁ。でもって多分ですけど,学校の先生って超自我強そうなので,「休んでいいよ」ってなってもきっとちゃんとは休めないだろうなとか。それでお昼ご飯作って近くの庭園まで出かけちゃうんだろうなとか。勤務はできないのに家にもいられない。つらかっただろうなーって。

だから自分の全てを知られていると思っている学校の生徒と出会ってしまったら心穏やかでないと思うのだけど,タカオはそうでなかったから,ユキノのことを何にも知らなかったからこそ成立した関係だったんだろうな。

(うーむ。ここまで書いてて自分がユキノ目線で観てたのかということを認識したよ…。)

タカオに足型取ってもらうところとか,こちらまでドキドキしてしまいました。笑
思えば足って普段触られないパーツだから。あんなふうに大切に触ってもらえたら,それはちょっと特別な時間だよね。まだ観てないし原作も読んだことないけど,映画『娚の一生』の,トヨエツが榮倉奈々の足にキスするあの画を連想しましたよね…。

きっとユキノも無垢な高校生に救われていたけど,いざ「好きです」なんて言われても,嬉しいけど自分にはどうしようもできなくて,ああいう態度になってしまうのも,なんだかわかるかもしれない。だって今私が15歳の男の子に告白されても,え。どうすればいいの私ってなるもの,絶対。『今日は会社休みます』以上の動揺ですよ…。

もやもやしたまま観ていたけど,階段の踊り場でタカオが「そうやって生きていくんだ」って叫ぶあたりは,なんだか空が突き抜けたようで,なんだか泣けてしまいました。秦基博さんの声も胸にしみますな…。

確かに,キャッチコピーみたいに「愛ではなくて孤悲(こい)」だったのかもしれないけれど,新緑の緑が希望を持たせてくれたように感じました。
そうそう。インタビューでも新海さんが言っていたけど,顔に緑が塗られているのが斬新だったなぁ。あと鉛筆の音とか雨の音がとてもきれいで,もちろん映像も本当に見入ってしまって,「映像の文学」という言葉が本当に合う。そんな映画。あ。あと雨とピアノってやっぱり合うんだなぁとも思ったり。

歩くための,歩いていくためのきっかけをくれるような,そんな映画でした。

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