Thursday, December 10, 2015

KAKUTA 第26回公演『痕跡〈あとあと〉』

(KAKUTA公式webサイトより)

@シアタートラム

作・演出:桑原裕子
出演:成清正紀/若狭勝也/高山奈央子/佐賀野雅和/四浦麻希/異儀田夏葉/多田香織/桑原裕子/斉藤とも子/川隅美慎/辰巳智秋/大神拓哉/松村武

人生2度目のKAKUTA。この作品は初演時,青山円形劇場でやっていて,人気のある公演だということはTwitterでひっそり知っていました。なぜ観に行かなかったのか…。もう二度と上演できない場所なのに。悔やまれます。悔やんでました。

で!も!

再演!再演!!気になっていた作品の,再演!!!劇団20周年の記念公演にこれを持ってくるということは,間違いない作品に間違いない!

ということで,チケットを確保して観に行ってきました。ストーリーも含めてほっとんど知識がないまま観ました。挟み込まれているパンフレットもぱらっと見て登場人物は押さえておきたいと思ったけど,意外とたくさんいるしついていけるかなぁ~と思っていたんですが,この世界にぐいぐい引き込まれました。

家族がほしいひと達の,家族を維持したいひと達の,家族を取り戻したいひと達の,日常と非日常の物語。

様々な関係の人達がわさわさ出てくるのだけど,これがどう関わって,絡んでいくんだろうとドキドキしながら観ていました。途中からもしやもしやと思ったものが的中したときは,何とも言えない気持ちに。

永住権を求めて偽装の結婚をする中国籍の女の子とか,偽名を使って内縁の妻と共にさらってきた子どもを育てるとか,とってもぞわぞわしました。その設定にぞわぞわしたというよりは,「それ」が彼・彼女の日常であることにぞわぞわしました。
私は昔から,(実は私は両親の本当の子どもじゃないのかもしれない)と空想することがよくありました。別に両親に怪しいところがあるとかそういうことではないけど,なんとなく考えることがあるのです。最近自分の顔が母親や伯母や祖父(!)に似てきたな~と感じることが多々あるので,おそらくちゃんと実子だとは思うんですが,それでも「もしかしたら」という可能性はあるのであって。もし,そのもしかしたらが真実であっても,両親がその真実を教えてくれない限り,私の日常は日常として在り続けるのだと思います。生きていくとは,ぞわぞわをぞわぞわとして感じさせないくらい,日常を日常として生活していくこと。そういうことなのかなと,この作品を通して思いました。

だからその日常が壊れる瞬間は,とても胸が痛みました。今まで育ててきた息子を家から追い出す桑原さんとか,戸籍上の旦那にめちゃめちゃにされた中国の女の子(役名がわからない!)とか,すっごいヒリヒリしました。お芝居としては過度じゃないのに感情を揺さぶられて揺さぶられて,桑原さんの力を実感しました。多分その日常が壊れる瞬間を表す究極のせりふとしては,「どうして黙っててくれなかったの。」みたいなせりふ。あれかな…。

あと,舞台セットが軽やかで素敵でした!キャスター付きの台×2(二つ合わせると机になったり椅子になったり)とか,おおおってなりました。円形劇場で上演したことを思わせるような装置は,登場人物の思い出の品で埋め尽くされているようで,過ぎた時間を物を通して感じさせてくれるみたいでした。下手は下に階段がつながってるし,高低差のある舞台ってそれだけで見応えあるなぁ。
でもってオープニングの映像とかタイトルロールとか,床に投映するのがカッコイイ!タイトルの『痕跡』が出てきた時とか,いいな!って思いました。笑

重苦しいことを描いているのに,最後の軽やかな感じは斉藤とも子さんの魅力だなーと思います。息子に気づいた母は,あの後どうするんだろう。想像すると決してハッピーエンドではないのかもしれないけど,この先も物語が続くような気がしてしまいました。あと黄色いカッパの男の子が,表情見えない感じがもどかしくてよかった!

チラシのイラストも素敵だったので,終演後クリアファイルを買っちゃいました♡若狭さんのサイン入りでした♡大切に使いたいと思います!そして私,『秘を以て成立とす』の時から薄々感じてましたけど,多分おそらく確実に,KAKUTAにハマりました。これから観劇ペースを上げていけたらと思います!

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