Sunday, February 28, 2016

Meeekae≪ミケ≫ O・Henry’s “Jeff Peters as a Personal Magnet” - O・ヘンリーの「にせ医師物語(邦題)」-

(Meeekae公式tumblerより)

@ヌイサンスギャラリー

脚本・演出:川名幸宏
出演:丸山港都/川名幸宏
音楽・演奏:大塚るるる

まさか私のブログにみなとくんの写真が載る日が来るとは…。笑

昨年は劇団→ヤコウバスの公演を初めて観に行ったり,きせかえできるねこちゃんとヤコウバスのコラボ作品を観に行ったり,私の中ではかなり彼らの世界に浸かっていた感がありました。

がっ!もともと昨年のねこちゃんは久しぶりに集まって公演を打っていたし,気づいたらヤコウバスも活動休止になっていて,あのひとたちはこの先どうしていくのかしら~(-ω-)と思っていたのです。

すると!みなとくんと川名くんがチームを組んでお芝居をつくるというではありませんか!(・ω・)安心!彼らは彼らの道を貫くという意思がビシバシ伝わってくる!

しかもこのチームのコンセプトが…

Meeekaeは「盗作の何が悪い。作品は模倣の連続。だって良いものは良いんだから。」というちょっぴり不謹慎な理念を持ち、敬意と愛を持って再創作する演劇トリビュートチームです。
(公式tumblerより)

つ,つよい…。強気だ…。笑
第一文目が良いですね…。

もともとこの日は友達と別のお芝居を観に行く予定があったのですが,日曜の19時開演というギャラリーならではの時間設定に助けられ,ハシゴして行ってきました水道橋。

会場はヌイサンスギャラリー。カフェとしてお茶やお酒も飲めるようです。ヌイサンスってフランス語?って思ったので調べてみたら,英語でやっかい者とか困ったものとかそういう意味があるようで。語源はやっぱりフランス語で,害とか危害とか。若干予想外…。笑
でも,誰でもふらっと立ち寄るというよりはちょっとしたこだわりがある人とか,そんな人が利用しそうな感じは確かにしました。笑

さてさて肝心のお芝居。

一言で表現するならば,「場所を遊びつくすってこんな感じ!」

20人ちょっとしか座れない,この小さな空間で,横も奥も下も使って,見るし聞くし感じる。お客さんとして観ているはずなのに,なんだか能動的な50分間でした。
建物の入り口は一階。ギャラリーは階段を上がって二階。客席と,カフェ用のカウンターと,お手洗い。それが空間の全てなのだけど,例えばみなとくんが水をゲットするシーンでは本当に蛇口から水が出てる(音がする。実際栓をひねって音だけ聞かせている)し,みなとくんと川名くんでバーにやってくるシーンは本当にカランコロンと音が鳴って下から階段をトントン上がってやってくるし,なんか川名くんは鉄製の…なんだあれ?間仕切り?にいてうふふーってしてるし,お手洗いの扉の向こうは市長の部屋とかいろんな空間に繋がっているし,自由!横も奥も下も使って,いろんなところからホンモノの音が聞こえて,なんとも贅沢な時間でした。
せりふがいっぱいだし,外国が舞台だし,抽象的だし,私はついていけるのだろうか…と思っていたのですが,大丈夫でした。よかった。あと川名くんは数えきれないくらいの役を演じていたのだけど,そこもちゃんとついていけました。よかった。

そうそう。今回の『にせ医師物語』は日本語のテキストがあったわけではなくて,原文を元に川名くんが書いたんだとか。川名くんすごい…。元のボリュームとかわからないけど,50分というコンパクトな時間がとってもちょうど良かったです。個人的には外郎売入ってるのが好きでした。
どんでん返しのお芝居ってたまに出会うけど,さらにどんでん返ししたのを最後にもう一回返す!みたいな感じで,鮮やか~(´ω`)☆って思いました。なんだあのひとたち仲良しじゃないか…。っていうようなまとめ方。笑
元々のオリジナルテキストを探し出すのってセンスが問われると思うのだけど,面白い作品に出会えたなーと思います。あと原題の“Personal Magnet”ってなんだか素敵。「人はお金じゃなくて,心と○○と思いやり(○○忘れた。心かどうかも怪しい。笑)」みたいなせりふも素敵。

あとは,みなとくんのおひげすがたが見慣れなさすぎて新鮮だったのと,川名くんのああいう格好(スカートっぽいの)似合うなぁというのと,るるるさんの電車?汽車?のタタタンッって効果音が素敵だったのと,まさかの隣の部屋だか建物だかからバンドの音が超聞こえてきてコラボってたのと(でも肝心のシーンでは音が止まったからスゴイ)…,もろもろ含めて愉快な舞台でした。

そしてなぜだか同じ回に中高の先輩や同期が大集合していてもはや同窓会状態でした。個人的には満足満足でしたが,このMeeekaeの世界がもっと外に広がっていけるといいな~なんて思います。
来月は早くもリバイバル公演(再演)が同じくヌイサンスギャラリーで催されるようなので,精力的で良いですね。「ふたり」って社会集団の最少人数で,いろいろな経験を経て敢えてこのふたりでチームを組むのだから,きっと今後もあれこれ見せてくれるのだろうと思います。Meeekae。

そんなこんなで,みなとくんと川名くん,お疲れ様でしたー。
ギャラリーにも,ひっそり落ち着きたいときなんかにおでかけしてみたいなと思いましたー。(ちょっと変わった植物?木がお出迎え!)

Friday, February 26, 2016

開幕ペナントレース 『ROMEO and TOILET』


@シアタートラム

脚本・演出・美術:村井雄
出演:高崎拓郎/G.K.Masayuki/岩☆ロック/ささの翔太/竹尾一真/針金信輔/山森大輔

知り合いの方に誘っていただき,観に行きました。
シアタートラムには何度も足を運んだことがあるけど,オールスタンディングの舞台って初めて。
そしていろいろ衝撃的なパフォーマンスでした。

わりかし近めのところにいたので,キャストの方に絡まれました。嬉しかったです。笑

なんとも言葉にしがたい,けれどなんだか切なくて温かい。そんな時間でした。

舞台セットの大量のトイレットペーパーが,ほんとすごかった…。

Sunday, February 14, 2016

長野県高校演劇リーダーズシアター team昆虫図鑑公演『あくしょん!』

@ピカデリーホール

作:郷原玲
出演:team昆虫図鑑

長野市民演劇祭におでかけしてきた1週間後,今度は中信地区に行ってきました。
例えば諏訪地区とか,長野県の他のエリアでは合同チームで作品を作り上げる機会は既にあったようなのだけど,中信地区は今回が初めてとのこと。中信出身のニンゲンとしては非常に新鮮というか,新しい時代になったのだなぁーと思いました。そういう企画が好きな先生が中信にやって来たからなのかと思っていたのですがおそらくそれだけではなく,2018年にやってくる信州総文のベース作りの意味合いもあるのだとか。
もし私が現役のときにこんな話があっても,おそらくどこもこういう企画には乗らなかっただろうと思います…。当時はとてもバチバチしていて,皆自校に対するプライドが高くて(←多分),自分達の作品レベルがどうであれ他校とやるなんてまっぴらごめんだ!と思っていただろうから(←多分)。そういう意味では,今全国総文が長野県に回って来てよかったなーと思います。笑

パンフレットをぺらりとめくり,作者の郷原先生の言葉を読み,私の中で「そうかも」と思っていたものが「やっぱそうだわ」に変わりました。美須々の『B面』や『木の葉…』なんかを観ていると,郷原先生ってご自身が演劇やりたい方なのかなーと思っていたんですが,やっぱそうなんだな,と。それが良い悪いとかではなくて,熱いな…って。しみじみ。笑 多分そういった精神的な若さがないと演劇部の顧問って生徒についていけなくなる気がするので,中信はしばらく大丈夫かなと思いました。←
ちなみに先生は劇団を解散させることの寂しさについて書かれていましたが,解散によって寂しくなるのは当事者の方だけではないなぁなんてことも今回の公演を通して感じました。

この公演をわざわざ!わざわざ!(強調)観に行った最大の理由としては,現2年生の皆さんの舞台を観たかったから。
私は昨年度から再び高校演劇を観るようになり,この2年で今回参加している3校は最低限地区大会を観ていて,プラス県大会とか文化祭公演なんかにも足を運んでおりまして。なので今の2年生の皆さんのことは,1年生のときからがっつり観ていたのですよね(なんかストーカーっぽいな…。焦)。だから私の中で今の深志とか蟻高,美須々なんて言ったら,現2年生の皆さんのイメージ。なんとなく,また次も地区大会なんかに出かけたら彼・彼女に会えそうな気がしちゃうのだけど,もうそんなことないんだなということにふと気づきまして。来年度は文化祭に足を運べない可能性大なので,今の2年生の舞台を拝むのはこれが最後になるのでは!という結論に達し,日帰りで東京からびゅびゅーんと観に行ってしまったのでした。


感想です。

実に充実した1時間でした。

ピカデリーは中3の時にまつもと演劇祭のお手伝いとかでよく通っていたと,私が自分の意思で初めてプロのお芝居を観たのがここだったので単純に懐かしかったし,いろんなところから想像力を持ち寄るとこーんなに面白い空間ができちゃうのか!という思いです。
3校が一緒になっていろんなところでお稽古していたみたいなので,(舞台セットとかどんななのだろうか…)とか気になっていたんですが,舞台上で出てくるのは2,3脚のパイプ椅子のみ。あとはぜーんぶサラ舞台でやってのけちゃう。でもちゃんと,そこがどこであるかがわかる。高校生のパワフルなエネルギーで押し通す,超超アツイ舞台でした。
でもって,ぱっとキャストさんを見ただけでどこ高校のだいたい何年生の方かわかってしまう自分がすごい気持ち悪かったです。←

今回一番新鮮だったというか,(おぉぉ♡)と思ったのは,リオ役の方!
地区や県大会では蟻高のどシリアスなお芝居を観ていて,どちらかというと感情を統制したしっとりしたひと(男性・女の子)を演じていらした印象が強かったのですが,めっちゃイライラしている!そして表情がついている!!!このひとこんなお芝居もできるんですねー!という感じで,ぐいぐい見てしまいました。すんごいイキイキしていて,とっても魅力的でした。
(…という文章を書いていて,全体的に蟻高の方は“なんだこの人達ここまでできるじゃん感”を感じたなということに気づきました。良くも悪くも蟻高の皆さんって感情をコントロールしすぎているお芝居が多い気がするので。素の皆さんが“イイコ”なのか演出で抑制されているのか何なのか謎だったんですが,後者だったんだなと。)

パンフレットを見ると演出は生徒さんということになっていますが,脚本のテンションに全体のピッチがちゃんと合っているので,なんかほんと…アドレナリン全開ってこういうことだよねって舞台に仕上げられていたと思います。わちゃわちゃしてる感じとか,キャストさんご自身が本当に楽しくお芝居してる雰囲気がたっぷり伝わってきて,パワーもらえました。

だからというかなんというか,普段もそういうピッチでやっているからだとは思いますが,マユちゃんは『B面』の涼子ちゃんに見えたりアヤカ様は晶ちゃんに見えたりしましたよね。蟻高や深志の皆さんが「いつも」とは違った分,美須々は安定と表現すれば安定,全部一緒と表現すれば全部一緒だったように思います。
うん。蟻高は表情で演じているのだとしたら,美須々は声で演じているなーというのも,他校同士が同じ空間にいればいるほど感じました。どっちがいいとかそういうものではなく,やっぱり普段の環境から滲み出るものってあるよなぁと再認できた感じ。情動からお芝居をつくるのか,ビジュアルからつくるのか,そのアプローチの違いなのでしょう…。

あとあと,個人的には蟻高のヒロインさん(イケメン吉野の生徒さん)と美須々のヒロインさん(葉子さん)が睨み合ってるシーンなんかは贅沢すぎてぶはってなりましたし,冒頭の各部のユニフォームの集めっぷりが本気すぎてすごく素敵でしたし,チャーリーさんはおいしいとこ持っていきすぎだし,靴紐がほどけちゃうとどこで直すのかドキドキしちゃうし,もう皆さんやりたい放題なのにまとまってるから,もう好きにしてください…という感じでした。←ほめてる

今回上演した3校であってもそうでなくても,中信,いや長野県の演劇部に入ってくる新1年生が増えたらこの企画は本当の意味で成功なのだと思います。4月が楽しみですね。
これだけで終わってしまったら本当にもったいない企画なので,ぜひまた来年度も公演を打ってほしいなーと思います。今回の3校でもいいですし,もっと他とも組んでいいだろうし。中信全体のボトムアップになれば,元地元のひととしては嬉しい限りです。

あ。そうそう。結果論になっちゃうかもですが,県大会が終わった時,中信の学校が関東に行けなくて,私めちゃくちゃ悔しかったんですよ。本当に。なんですけど,もし蟻高か美須々のどちらか一校でも関東に進んでいたらこの企画は成立しなかったと思うので,ある意味県大会の結果は今回のこの企画のためだったのかもなんて勝手に意味づけしています。
本当に,このメンバーが揃っているこのお芝居を観ることができて,とっても満足でした。チョコ以上にいいものもらいました。笑

team昆虫図鑑の皆さま&各校の顧問の先生方,スペシャルな企画をありがとうございました~。お疲れ様でした!

Saturday, February 13, 2016

映画『キャロル』

◇STAFF
監督:トッド・ヘインズ
脚本:フィリス・ナジー
原作:パトリシア・ハイスミス『The Price of Salt』
音楽:カーター・バーウェル

◇CAST
ケイト・ブランシェット/ルーニー・マーラ/サラ・ポールソン/カイル・チャンドラー

製作国:アメリカ
公開:2016年(日本)
上映時間:118分

(2016.2.13 劇場で鑑賞)

友人に誘われ観に行ってきましたー。いつ公開されたかわからぬまま行ったのですが,まだ3日目くらいで観たのですごい満員でした…。

本当に,誘われてはいはーいとOKして出かけたので,(なんとなく同性愛の話だったような…)くらいの情報しかなく,予備知識も何もないままで観ました。

が,よかったー。とても美しい時間を過ごした!(気がする!)

画がとてもきれいでした。画が。そりゃ映画なんだから,当然なのだろうけど,テレ―ズが乗っているタクシーからの車窓とか,カメラのファインダー越しの風景とか,キャロルが運転する車から見える風景とか。車に乗っているテレーズのぼんやりした表情も,何考えてるかわからなくて良かった。
あと,テレーズが車に乗ってる時に街をゆくキャロルを見かけて目で追うシーンが2回くらいあったと思うのだけど,あそこがなんとも言えず。見えているのに,手が届かないあの感じが切なかったなぁ。

作品を観ていて,すんごいレトロな感じが素敵だなーと思ってました。あとで友人に聞いたら1950年代だと教えてもらったのだけど,いいな,50年代…。お洋服とか,小物とかの落ち着いたかわいさ。素敵。何か連絡を取るにもデパートの売り場とか,アパートメント全体の電話に掛けるあたりとかも,もどかしくていいよね。

「心に従って生きる」とか,よく言うけど,歌の歌詞なんかにもあるけど,それがどれだけ難しいことか。

なんとなく薄々わかっていることと,決定的にわかることは,大きく違うよね。大きく違うけど,そこがはっきりする瞬間って,とても怖い。キャロルもテレーズも,すれすれのところで家庭生活なり恋人との関係なりを続けていくけど,やっぱり形式とか表向きとかそういうところで繋がり続けるのは虚しいし,何より満たされない。2010年代になった日本もようやく,渋谷区だとか世田谷区でもパートナーシップ証明書を出してくれるような自治体が出てきたけど,それでもまだまだだよね。50年代で思うように生きていくことがどれだけ難しかったか。チリチリと胸が焼けるような感覚がありました。

だから映画の冒頭のレストランのシーンに戻って来たときに,「もう私達は戻らない」みたいなことをテレーズが言っておきながら,キャロルとは別のパーティーに出かけて,やっぱ違うわと気づいてキャロルの元に戻ったときは,すごい救われた感がありました。作品のいっちばん最後の,キャロルのあの表情を観るために,118分があると思える感じ。
そうそう。二人が再会したレストランのシーンを,二人の紆余曲折を経てから観ると,テレーズすごいおしゃれさんになったよね。ぱっつりした前髪も素敵だけど,カールした髪も似合う。大人っぽくなってて,きっとキャロルは嬉しかったんじゃないかな。でもちょっと,自分のかわいい子が大人になっていく切なさも感じていたと思うから,切な苦しいシーンです。あぁ,戻ってくれてよかった。テレーズ。笑

あとあと,登場人物のお洋服とか髪型もすごい素敵なのだけど,音楽!音楽がとても印象的でした!最初から,あのメインテーマっぽい曲が耳に残って,作品の世界観に引き込まれました。サウンドトラックをレンタルしようと思ったのですが,某TSUTAYA(←全然某じゃない)は来年の2月からレンタル開始とな…。う,嘘でしょ…。もう買っちゃおうかしら。

テレーズを演じたルーニー・マーラの瞳や表情がとても素敵だったな。きれいなものに惹かれているあの瞳が,吸い込まれそう。他の作品も観てみたいです。ケイト・ブランシェットも,『エリザベス』が公開されたときから気になっていたのだけどまともに観たことなかったなぁ。実家で『エリザベス』シリーズが録画されっぱなしで眠っているので,帰省したらゆっくり鑑賞したいと思います。

普段は邦画を観ることが多いので,良い刺激になりましたー。美しいものって正義。