Saturday, November 1, 2014

第31回長野県高校演劇合同発表会 長野県屋代高校演劇班『南京の早春賦』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@ホクト文化ホール

作:小川幸司
潤色:長野県屋代高校演劇班
出演:長野県屋代高校演劇班

2014年の県大会のトップバッター!

私が2週間前に書いた日記(こちら)で,この学校のこの作品への期待を述べさせていただきましたが,本当に観に行って良かったです。

何回も同じこと書いてて恐縮ですが,2003年に作者の小川幸司先生が書き下ろして,松本深志がやっているのを客として観ていたのです。私。
9月から12月まで,私の中では結構長い間追わせていただいた作品で,ホールでも拝見しましたし,小川先生にお招きいただき高校の教室でも拝見させていただきました。
地区大会で講師の先生から指摘されていた部分が県大会で変わっているのがわかったり,ホールでは気づけなかった細かな部分に教室公演で気づけたり…。あと主役の方が姉の中学校の同級生の方だったので,(あの先輩があんな演技を…!)と思いながら毎回観ていて,外部の人間でしたがかなり思い入れがあった作品なのです。
(ちなみに松本深志の『南京』の感想はこちら。)

小川先生の作品は,当て書き…というわけではないけれど,他の高校が上演することを想像するのが難しいくらい,作りこまれているんです。
その年の,その学校の公演で,完結しているものだと個人的に思っているんです。

だから単純に他の地区の学校が再演するのに驚きましたし,その学校である屋代高校の現顧問の先生は,2003年当時小川先生と同じ中信地区で演劇部の顧問としてご活躍されていた先生だったので,なぜこれを選ばれたのかがとても興味深かったのです。
世の中に戯曲は多くあるけれど,なぜそれなのか。それである必要があったのか。
仮に先生が作品の選考に携わっていなくても,部をマネジメントするのが顧問の仕事であるとするならば,最終的にGOサインを出す顧問がその選択を肯定しているはず…と思ったので。

でもって,何の作品でも,いちばん最初に観たインパクトは,強烈です。
やっぱり深志の舞台は本当によかったし,オリジナルに勝ることは難しいと私は思っています。その前提で,以下お読みください…。


とても…とても懐かしかったです。
(あぁ,このせりふ聞き覚えある~!)と思いながら拝見していました。本当に懐かしかった。
(この次のせりふはこれだわ)って思う瞬間がいくつかあって,本当にそうだったときのよっしゃーって感じは,きっと一緒に観に行ってくれた部活の先輩くらいにしか伝わらないでしょう…。

パンフレットには演出の方のお名前がありませんでしたが,きっと女性の方が演出されたんだろうなぁと思いました。
だってすごく女子女子してるんだもの!
例えば…

・ティーセットかわいい
・ソファーかわいい
・アデラかわいい(青い服)
・アデラ死なない

…そう,アデラ死なないんです!!!!!!!!!!

潤色されているということは知っていましたが,(11年前に観た作品だし,どこがどう変わったか気づけるかな~)と心配でした。が!最後の最後で(ここかーーーーー!)って。
希望を残すあたりが,女性目線な気がしました。
小川先生は,史実に基づくというか,とにかく絶望的なものは絶望的なので…。笑
屋代版は,誰が銃の弾を抜いたのか,考える楽しみも与えてくれたような気がします。

主人公たちは17歳。2003年当時,私は中学生。彼女たちの年齢を追い越し,20代半ばになった今改めて観てみると,(なんて意識高い系の女子たちなんだ…!)ってことに気づきました。現代の女子だったら,起業とかしてそう。というか,アデラの「学校作る!」っていうのもある意味企業か。

夢の,スケールが大きいよね。あと自分のためにというより,他者のためにという意識が強い。
それは本当にそれを目指してそう言っているのか,まだ世間をよく知らずにそう言っているのか,若さゆえの万能感なのか,よくわからないけど。
でもきっと全部,ちょびっとずつあるんだろうな。それが17歳っていう,キラキラした年と時間のことなんだとも思いました。


さて,細かいところ。
アデラさん…。かわいかった…。本当に,無邪気なアメリカンガールという感じ。
とっても魅力的な方で,憑依系の役者さんだなという印象を受けました。(ていうかまだ1年なのか!これからが楽しみ!)
でも滑舌というか,舌が長いの…かな?「ら行」とかが難しそうで,ちょっと聞き取れないせりふもちょこちょこありました。でも彼女の勢いと,私の記憶(笑)によってカバーされていた気がします。
あと,カツラ?カツラなのかな?前髪がすとんと落ちていて,目が見えづらかったです。やはりお客さんとしては役者の顔,特に目が見たいので。(←これは由美子にも言える。残念…。)

深志が知的で落ち着いたアデラさんだとしたら,こちらは元気はつらつ!な感じが全面に出ていて,それが後の精神的にやられていく感じにつながってよかったです。由美子が殺されてからの,机やソファーの方を行ったり来たりするあたりも,よかった。魂が彷徨う感じで。
でも最後の方はもっと感情がなくなってもいいのかな。「春が来ても喜びを感じないだろう(みたいなせりふ)」とか「悲しさも感じない(みたいなせりふ)」を話しているあたりが悲しそうだったので。個人的にはもっと,平坦ゆえにひたひたと迫るものを観たかったです。

スクリーン&字幕について…。
(こうきたか!)という感じです。赤のシルエットで虐殺されていく感じ,良いですね…!印象的!新しい!
ただ,字幕については出す場所が再考の余地ありなのでは…と思いました。
フォントがでかすぎる割に窓枠の向こうなので,おそらく上手下手の客席からは見えない字があって読み切ることができなかったり,やっぱり言葉も大事だけど演技も観たいと思ったときに上下の目の動きをしなければならなくて(私が近くで観すぎたのかもしれませんが…),ちょっと高度なテクが必要でした。
あとあと!せりふと字幕があってないところもおそらくあって,(ううーん…)と思ってしまいました。

そうそう。銃殺の音が…
弱い気がしたのは,私だけでしょうか…。
そのあとのドアのバタンと閉まる音の方が大きく聞こえたのは私だけでしょうか…。
アデラは銃声が忘れられないと言っていましたが,私はドアのバタンの方が忘れられません…。
そのついでに,目の前で友達が銃殺されたら,もっと,声にしろ,目にしろ,体にしろ,反応があるような気がするのですが,そのあたり,アデラさんやタオさんがうっすらだったので,(あれれ!)と思ってしまいました。

音といえば…!
まさかの!蟻高と使用曲がかぶっている…!
今年度文化祭や地区大会で松本蟻ヶ崎が発表されていた『Nippon, cha cha cha!』で使用されていた曲が,ここでも聴けるとは…!こここ,顧問の先生のセンスですか!?なんだか奇遇すぎて恐ろしかったです。(世の中には星の数ほど楽曲があるというのに!決してメジャーな曲じゃないと思うのに!)

他にも書きたいことがあった気が…。
あ,気になってた作品選びについてですが,大会中に配布されていた速報によると,顧問の先生が班のみなさんの様子を見て提案してくださったそうです。
いろいろもろもろをご存知の上で出してくる先生…。(チャレンジャーだわ…!)の一言です。


最後に,この作品を拝見する前,作者の小川幸司先生にもお会いでき,10年ぶりにお話することができました。感無量です…。ほんとうにこれだけで,冗談抜きで生きててよかったと思いました。
これからも,このブログの更新をがんばろうと思った2014年秋です。

屋代のみなさん,お疲れ様でした。そして,小川先生にも巡り会わせてくださいました…。本当に本当に,ありがとうございました。

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