Saturday, November 28, 2015

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県上田染谷丘高校演劇班『カラクリヌード ~わたしはわたしを改造スル~』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:すがの公
潤色:上田染谷丘高校演劇班
出演:上田染谷丘高校演劇班

高校演劇を観るようになって今年で15年目。地元の中信地区をはじめ,いろんな学校のお芝居をちょこちょことかじってきた私ですが…

初!上田染谷丘!県大会に何度も出場されている学校ですが,タイミングが合わず今までずーっと観られずにいたのです。今回出場校と演目が決まって,中信の若者達(高校生)がTwitter上で「上田染谷は『カラクリヌード』やるんだ!」みたいに言ってて,(うぉぉ,知ってるひとは知ってる作品なのか!)と思ったのを覚えています。

お昼休憩前の最後の枠。私のお腹も空いてくる中での観劇。
でしたが。
お腹が鳴っても全く問題ないくらいの,

シャウト!!!!!!(゜゜)シャウト!!!!!!!!(゜゜)(゜゜)(゜゜)

ものっすごい,ものっすごい熱量でした。どびっくり!
しかもそれがほぼ60分続くので,なんてアドレナリン出まくりの舞台なんだ!
(私は個人的にシャウト系がだめなのでヒャーと思いながら観ていましたが,やりたいことは強く強く伝わってきました…。)

すんごい,せりふが弾丸のように客席に刺さってくるのですよ…。幕開けから,ものすっごい。前の枠が茅野で,会場も茅野に魅せられた感が溢れていたのですが,一気に染谷モードになったのが感じられました…。
弾丸のようなスピード感あるせりふって,聞きとれなかったら元も子もないと思うのですが,ちゃんとバシッと聞き取れたのでさらにびっくりでした。しかも一人が言うせりふではなくて,群唱(って言うの?複数人で同じせりふ言うやつ)でキレイに揃っていたから,おぉぉ~っと思いました。

あ。舞台装置の話を…。一校目が終わったあたりでお手洗いに寄ったのですが,その近くが大道具スペースになっていたようで。「上田染谷丘」って書いてあったエリアにはダクト?みたいなものが置いてあって,(おぉぉ。なんだなんだ。)と思っていたのですが,幕が開いて納得…。衣装も含めて舞台全体が黒っぽかったのですが,そこに銀の歯車やダクトが映えていてよかったです~。
そう,黒って全部潰れちゃうから結構チャレンジな色だと思うのですが,モグラの皆さんとかが衣装で積極的に使っているから,攻めの姿勢を感じました。逃げの,「とりあえず黒」って使い方ではなく,質感とかシルエットにこだわりがあって,いいなーって思いました。

そうそう。舞台装置も衣装も抽象的で,せりふを追わないと今ここがどこなのか危うくなる舞台なので,油断してると(あれ。これどこの何のシーン!?)ってことになりかけて大変でした…。一人で何役もやっているし,似たような衣装だし,若干迷子になりかけた…という,報告です。笑
きっとこの抽象具合がこの作品の魅力で,どこでもなくてどこにでもなるから,地下6,000メートルでも月の見える場所でも超越できるのだろうと思いました。

抽象的な話のついでに,マイムのことを…。いろんなシーンでモグラ達が各々自分の仕事をしているんですが,あのモグラ達の動きが良かった…!マイムがキレイだと私は(わぁぁ♡)となるんですが,なりましたよね…。あぁいうキチキチっとした動きって,神経をピンとさせないとできないし,甘く体を動かしてると一発でわかるのですが,このモグラさん達は良いお仕事をしていました…。思わず見入ってしまった…(´v`)

あと,他の学校でも思いましたが,男性役を男性ができるってとても良いと思うのです…。演劇というと女子っぽいイメージがあるようで,実際女子ばっかの学校もありますよね。あとあと,やりたいこととやれることで折り合いつけるのって大変だと私は思っているのですが,今回の染谷さんはロク助も権藤も男子生徒さん!やりたいこととやれることがきちんとマッチしている!だからリコを奪い合う(?)ところなんかも非常に見応えがありました。素敵なカンパニーですね…。貴重な男子部員…。やれることすごく多そうですね…。いいなーって思いながら観てました。笑

はっ!そうだわ。照明の話もしなければ。
光が,光が素敵なお芝居だったのですよ,これ!
私も昔は,舞台の照明は「暗くなってしまわないように」つけるものだと思っていたんです。
が,2008年に世田谷パブリックシアター制作の『春琴』を観てから価値観がガラリと変わり,暗さには意味があると思うようになったんです。今回の染谷も,地下6,000メートルを光量で表現していて,このあたりにもこの学校の攻めの姿勢が強く見えました。普通だったら「暗いわ~」と思われてしまうところだと思うんですが,かなり攻めてた!暗いからこそサイリウムもカラフルで効果的でした…。(ももクロの色しか出てこないなと思っていたら,そのうちそれ以外の色も出てきたので安心しました。笑)

講師の先生も仰っていたように,発信する力はすんごくあるカンパニーなので,キャッチする力も見えてくるともっといいだろうなぁと思います。遠いから叫ぶのでしょうけど,届けたいから叫ぶのでしょうけど,聞こえていること,届いていることを信じて発信できたなら,そのやり方もちょっとずつ変わってくるんじゃないかな。このあたりはまだまだ伸びしろがありそうです。

染谷の方によると3月末に再演があるようなので,ここからどう改造スルのかが楽しみです。笑
県大会作品をちゃんと練り直して世に出すって,とっても大切なことですね。ひとつのものをきちんとまとめて収めるって,大事な力だと思います。きっともっと洗練された舞台になるんでしょうね。
上田染谷丘のみなさん,お疲れ様でしたー。

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