Friday, September 22, 2017

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部『M夫人の回想』

@まつもと市民芸術館主ホール

原作:W. シェイクスピア
作:郷原玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部


  • 美須々が金曜に上演っていうから有休取りましたよ…。文化祭公演の時にこのタイトルを知り,(シェイクスピアでM夫人と言ったらマクベスさんかな)と思っていたら,当たりましたよ~。わーい。なんというか郷原先生ってあんまり原作とか下に敷くものがない印象だったので新鮮でした。そして文化祭の様子から部員の人数がピンチということは伝わってきていたので,一体どんな作品になるんだーと思っていたら…SNS経由で一人芝居と知って,だいぶ勝負に出たな…と正直思いました。
  • 現代で純粋に『マクベス』をお芝居でやってるのって,そんなにないですよね…。私は新感線の『メタルマクベス』,世田谷パブリックシアターの『マクベス』(5人芝居),Bunkamuraの『マクベス』(長塚圭史さん演出,常盤貴子主演の組み合わせ♡),佐々木蔵之介一人芝居の『マクベス』を観てるのですが,数年前に映画化したやつを観てなくて。ちゃんと予習しておけばよかった。なのでどこまでシェイクスピアでどこから美須々の解釈なのかわからんとこがある上で書きます!
  • 『マクベス』を夫人の視点から切り取る試みが面白い。私も確かに(この夫婦子どもは?)(でも自分のお乳あげたことがあるって夫人のせりふにあったなー)とかってずっと謎だったんですけど,「望んでも実現しなかった(良い母になれなかった)」「(だから)良い妻になるべく夫をサポートしまくる女になる」となると,一気に現代に寄ってくるというか。これまでたくさんの『マクベス』を観てきて,夫人のガッツというかモチベーションというかエネルギーはどこから出てくるんだろうと思っていたんです。で、今回観てて,子どもを持つことの喪失という穴を政治的活動で埋めるのはすごいしっくりきて。夫人は自己に対する不全感があるから,夫の出世が支えになるのですな…。そのために度を越した行動もしちゃう。マクベスのこともマクベス夫人のことも,私は欲で動いている人達だと思っていたので,新鮮な感覚です。そうじゃなくて,不全感を埋めていっただけ。でも子どもを産めないという本質的な部分は解消されないから,どこまでやっても終わりがない。なんか摂食障害の方の心理に似ているとこがあるなーと思いました。
  • そうそう。なので女性性で回していくのかと思ったんです。でもそう観るとそこと夫人の発症がちょっと繋がってない気がして。あれ。気づいたら夫が帰ってこない話になってる…という感じで,私はうまい具合に回路がバチッと繋がらなかったです。うーん。もう一度観たいな。
  • 日下部先生が「見えないものをドラマティックに表現したい人」だと(個人的に)発見して,じゃあ郷原先生は?って考えたんです。で,(個人的に)発見したのが「見えないものをビジュアルで表現したい人」。まぁ平たく言うと舞台装置にこだわりまくる方だと思うのですが,今回もすごかったですね…。揺れましたね…。あそこまで潔くやってくれると清々しいです。いいなぁ。映像も,もうなんか長野県のケラさんですね。(キャストさんのお名前も使ってM3つだったり章のタイトルもみんなMで素敵だった)
  • でもでもメリーゴーランドのことがよくわからなかったの…。
  • 何より1年生1人で60分を背負ったところに拍手を送りたいです。昨年度の神奈川県大会でも『ひととせ』を観てはいましたが,すごいですね…。本当にお疲れさまでした。部員さんが入りますよう…。

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